健康知識 : 風邪
風邪
- 風邪(かぜ)って何?
- 免疫
- 発熱の効果
- 鍼灸治療
風邪
風邪(かぜ)って何?
現代医学では、正式な病名ではなく、様々な菌やウィルスによる感染症の通称です。
語源は「風の邪気(風邪:ふうじゃ)」が身体に入って悪さをしている状態と考える東洋医学の思想からきています。江戸時代以前の日本では、鍼・灸・漢方薬等の東洋医学が主な医療として利用されており、その考え方や言葉が現代でも残っているのですね。
免疫
風邪は感染症ですから、予防もひいてしまった時も重要なのは免疫を含めた生体防衛活動です。どのように身体を守っているのかを簡単にまとめてみます。
1. 皮膚や粘膜が常にガード
異物(菌やウィルスなど)が身体に入らないように、皮膚や粘膜で守られていて、粘液などの分泌物で異物を洗い流したり包んで運搬・排除してくれたりしています。
例えば鼻〜気管支の気道は、異物を鼻水で洗い流したり、痰で包み咳やくしゃみで体外へ出しています。
2. 体内へ入ってきたら免疫の主役「白血球」が活躍
白血球には大きく分けて2種類あり、異物を食べて対処するものと、攻撃をして対応をするものとがあります。
まずは、食べて対処しますが、その対処が始まると「サイトカイン」というタンパク質が作られます。サイトカインは多くの種類があり、例えば
- インターロイキン(免疫系の調節)
- TNF-α(腫瘍壊死因子)
- インターフェロン(ウイルス増殖阻止や細胞増殖抑制)
などがあります。
3. 発熱
サイトカインは、情報を伝えるプロスタグランジンを作る手助けをし、それが視床下部へ「大変だ〜!」と情報を伝えると発熱が始まります。発熱の準備は大きく分けて下の2種類とされています。
- 熱を身体の中に閉じ込め易くする
- 皮膚の血管を収縮させる
- 汗腺を閉じる
- 体温を上げる
- 骨格筋を収縮させて震えを起こして熱を作り出す
発熱の効果
発熱するとこのような効果があるという事が判ってきています。
- 風邪の菌やウィルスの繁殖を抑える
- 白血球の働きが活発になる(侵入した異物をたくさん食べてくれる)
- 免疫が異物を覚える働きが活発になる
昔は、発熱したらすぐに解熱するという方法がとられていましたが、現在ではこのように体内に侵入したものをやっつける働きが促進されることが判ってきて、風邪をひいた時は自然な生体防御機能にまかせて発熱した方が良いと考えられています。
高熱であったり酷い苦痛があったりしない限りは、解熱剤は必要なく、むしろ使わない方がよいとされています。
※ 体力が落ちている状態の方や高熱や酷い苦痛がある場合は、すぐに医師を受診してください。
鍼灸治療
鍼灸の治療を用いることで、白血球の産生を促進させたり、血流や代謝促進させたりすることが期待されています。
当院でも、体温が35度台だった方が、鍼灸治療(1回/週ペース程度が多い印象です)を継続しているうちに36度半ばで安定したり、風邪をひきにくくなったり、ひいても軽く済んだりという声をよくいただいています。
日頃の体調管理にぜひご利用ください。